鍼はなぜ効くの? 素朴だが深い質問
10月に入り寒暖差からか突然朝起きたら腰に激痛が…
頚が痛くてどうしようもない…
季節の変わり目にはこんなSOSが入ることがよくあります。
治療家として頼られることは有難い話ですが、患者さんからすると10月の寒暖差は本当に厄介なものです。
鍼で治りますか? 鍼ってなぜ効くの?
こういった質問を受けることがあります。
まずは、鍼で治りますか?はもちろん、様々検査を行ったうえで答えますが、基本的に治る可能性が高いと言えます。
また、これは治せそうもない… 症状が重い… と判断する事もあり、その場合は、説明し紹介状を書き、適切な医療機関への受診を促すことも我々の大切な仕事です。
では、次に鍼ってなぜ効くの?となりますが、実はこの質問は今、医学会で大変熱心に研究されており世界が注目しております。
簡単に解説しますが、鍼をすることで、脳からホルモンが分泌され、痛みを引き起こすメカニズムが停止、同時に血流が改善され、傷ついた細胞を修復していき、痛む部位が治っていきます。
しかし、急な腰痛などで来た患者さんの多くは、一度の治療で劇的に改善する方が多くいます。
脳から出るホルモン物質だけでは、腰をかばい、時には抱えられながら来る患者さんが、すたすた歩いて帰る姿を説明することは難しいです。
ここで2000年以上の歴史を持つ東洋医学の考えが重要になります。
東洋医学では体の全ての調和(バランス)を重要視します。
単に腰や頚だけの痛みに着眼せず、その人の生活スタイル、精神状態まで分析しバランスを整えるツボを全身から選択し、唯一無二の治療を行っていきます。
つまり、西洋医学とは患者さんと向き合う深さが違うのです。
痛みは体からのサイン
すべての痛みには、体からのサインがあり、そのサインにはいろいろなメッセージが潜んでいます。
数日前に、久々にストレッチをせずに運動した…
デスクワークでずっと最近は座りっぱなし…
睡眠不足で疲れがとれず…などなど実に様々です。
そのメッセージをくみ取り、血流の改善には鍼だけでなくお灸が良いと提案したり、食生活や生活スタイルへのアドバイスをしたり、自身の誤った健康知識を修正したり、様々な手を打ちながら“鍼”をします。
だからこそ高い治療効果と満足感が得られるのです。
このベースなくして、ただ“鍼”だけを体に刺しても真の鍼の力は引き出せません。
鍼がなぜ効き、2000年間継続して存在しているのか、少しタイトルからズレたかもしれませんが、臨床鍼灸師の思いが伝われば幸いです。
文章:村松
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